No.763 / ミヤマクワガタへの憧れ.....
幼少の頃から昆虫採集が大好きでした。
また採集して来た昆虫を飼ったり生体を観察するのも同じ位好きでした。
その中でもカブトムシとクワガタムシは別格で、夏休みの象徴でしたね。
夏休みになると地元の雑木林へ昼や早朝、昆虫網を持って毎日の様に出掛けたものです。
地元西尾周辺ではカブトムシは当たり前、クワガタムシはヒラタクワガタ、ノコギリクワガタ、コクワガタが採集出来ました。
しかし毎日の様に眺めていた昆虫図鑑の左上に必ず載っているオオクワガタとミヤマクワガタには出会った事がありませんでした。
オオクワガタは雲の上の存在でしたが、もう一匹のミヤマクワガタの姿のカッコ良さに強く惹かれました。
NHK の生物の番組「自然のアルバム」に映るクワガタムシも大抵ミヤマクワガタでしたし、白土三平の漫画「サスケ」に出てくるクワガタムシも大顎が誇張してあったミヤマクワガタでした。
ミヤマにはいつも鈴が付いていましたが......
一度で良いからミヤマクワガタを手に取り飼育してみたいと言う欲求は高まりました。
そんなある小学3年生の夏、大工の加藤さんが家に来ました。
彼は家の何処かが壊れたり、水漏れしたりした時電話を掛けるとすぐに来てくれて修理してくれる不思議なおじさんでした。
家族が「大工の加藤さん」と呼んでいましたが本職は不明でいつも酔っぱらっていて赤い顔をしていました。
しかも彼は山持ちらしく定期的に山の管理をしに岐阜へ行くと言う事でした。
加藤さんはお中元を持って来てくれたのですが、腰に草色のプラスティックの虫かごを吊るしていました。
その虫かごのなかに黒っぽい様な焦げ茶っぽい様な昆虫が1匹入っていました。
良く観ると独特の頭の張り出しとノコギリクワガタには無い大顎のラインですぐに昆虫図鑑で見た、サスケで鈴を付けられたクワガタだと判りました。
加藤さんは「山の掃除をしていたらいたんでお土産に持って来たよ!」と草色の虫かごを私にくれました。
その瞬間血が逆流して毛穴が全て開いた様な感覚に陥り嬉しさのあまり失神しそうでした。
この時だけはいつも腰からタオルをぶら下げ酔っぱらって赤い顔をしている加藤さんがスーパーマンに見えたものです。
その日は嬉しくて懐中電灯片手に一晩中リンゴ箱を改造した大きな虫かごでミヤマクワガタを眺めては興奮していました。
短気で喧嘩っ早くそのロックっぽさにも惚れ込みましたね。
とにかくカッコ良かったのです。
デザイン的に見ても横から見ると高級イタリア車のようでとにかく頭の出っ張りのラインの美しさったらなかったです!はいっ!
オオクワガタはベンツですね。
そんなミヤマクワガタですが三河の高温多湿の環境ではすぐに死んでしまいます。
そのためエアコンで室温調整してやる必要があります。
子供の頃は大きい氷をオガクズでまぶして飼育ケースを冷やしていました。
ワイルドで短気で非常に攻撃的ですが、凄く繊細でもあるのです。
実は数年前岡崎でも採集した事があります。
「ミヤマ」=深山...と漢字で書く様に水分が豊富で涼しい環境の自然豊富な高地を好むようです。
もうこれで10年以上になりますが毎年恒例の夏を確認する行事として早朝出発して岐阜まで行きミヤマクワガタ採集をしています。
最近は採集してもよっぽどの大きさ(7㎝)を超えなければ最後帰る際に全てリリースしてしまいます。
基本的にメスは持ち帰りません。
たくさん産卵してもらわなければいけませんからね。
さあ今年も行くぞ〜〜っ!!