No.470 / Gallotone Champion



ジョン・レノンが最初に手に入れたギター "Gallotone Champion" について。


フラット・トップのアコースティック・ギターで、通常のギターに比べ 3/4 のショート・スケール。
単板ではなくプライウッド(合板)でできている。


ここで面白い事に気付きます。
ショート・スケールとプライウッド(合板).......


ジョン・レノンが大好きだった2本のギター
Rickenbacker 325....ショート・スケール
Gibson J-160E.........プライウッド(合板)




要するにジョンの最初のギター"Gallotone Champion"はこの2つの特徴を兼ね備えていた事になります。
初体験の女性が忘れられない様にジョンのその後のギターを選ぶ基準に"Gallotone Champion"のこの2つの特徴が影響を与えていたのかもしれません。



もともと南アフリカに本拠を置いた Gallo(Gallotoneの前身) は
エリック・ガロが1926年ヨハネスブルグに設立。
1930年代後半に Singer と言うブランドでギターやバンジョーウクレレマンドリンを製造を開始。
ミシンで有名な Singer から苦情が出て楽器のブランド・ネームを Gallotone に変更。
1969年頃製造部門が閉鎖されるまで20年以上も南アフリカ市場に向けて弦楽器の製造を続け、輸出も行った。
当然 Gallotone 製のギターはイギリスにも輸入された。


Champion は Gallotone の一番安いモデルで、1955年当時の卸値は2ポンド10シリングだったそうです。



ジョンは後のインタヴューでこう語っています。
「子供の頃はギターをバンジョーみたいに弾いていた。
弦を緩めに張ってね。
僕はずっとロニー・ドネガンやエルヴィス・プレスリーが最高だと思っていて、とにかくバンプがやりたかったんだ。
バンジョーのやり方では結構弾けたけど、後でジョージやポールに会ってから、ほかのやり方を教えてもらった。
僕の最初のギターは10ポンドだった。
新聞に広告が載っていてね。
なぜ手に入れたかって?そりゃあ、普通の子供ならステージに上がりたいっていう気持ちはあるんじゃないか。
それに、僕の母親は弦楽器なら何でも弾けるって言ってたしね。僕にも少し教えてくれたよ。」



Quarry Men でバンジョーを弾いていたロッド・デイヴィスによれば彼らが使用していた弦は Cathedral と言うブランドのバンジョー用の物でラウンド・ワウンドだったそうで、当時ラウンド・ワウンドはフラット・ワウンドより安価だったそうです。
ジョンはこの"Gallotone Champion" をかき鳴らす様に激しく弾き、ブロンズ製の弦をしょっちゅう切りロッド・デイヴィスのバンジョーを取り上げ弾き(笑)その間次の曲に備えてロッドがジョンのギターの弦を張り替えていたようです。
ジョンの弾き方はものすごく激しく、人差し指の皮が剥けてギターのサウンド・ホールの中に血しぶきが飛ぶほどだったそうです。



Quarry Men 時代のジョンはギターのチューニングを通常の E-A-D-G-B-E で合わせていなかった.....と言うよりもこのチューニングを知らなかった可能性がある。
ジョンの母親ジュリアがギターをバンジョーのチューニングに合わせ、バンジョーのコードを教えたからである。
初期の Quarry Men のギタリスト、エリック・グリフィスは「ジョンと私は5弦のバンジョーのチューニングをポールが加入してからも2〜3ヶ月は使っていた。」と証言し、ジョンは「5本の弦しかチューニングできないから6弦がパタパタ揺れているのを見てみんなに笑われた。」と言っている。


最近 Quarry Men のバンジョー担当ロッド・デイヴィスは昔のバンジョー・ケースから Cathedral の弦を発見し、弦が入っていた袋の裏に手書きの文字でバンジョーの C チューニングを示す G-C-G-B-D の痕跡を発見し公表した。


続く...No.498 / Gallotone Champion.....2 - Outsider Records!